2020年1月から配信され、世界で話題沸騰の人気Netflixオリジナル作品「ラグナロク」。配信後、早速シーズン2の制作決定がアナウンスされ、先日、シーズン2の新しいビジュアルが公開されたばかりです!
OH MY GODS. Stop what you're doing! Production of Ragnarok season 2 has⚡ finally⚡ begun ⚡ pic.twitter.com/5AiP7EHeId
— Netflix Nordic (@NetflixNordic) 2020年9月2日
シーズン2のビジュアルやっときた~~!かっこいい!
そんな世界の熱狂ぶりとは裏腹に、「ラグナロク」ってあまり日本では話題になっていないような印象を受ける作品のように感じます。おそらく、その背景にあるのは、一般的に、私たち日本人が北欧神話になじみがないということ。
Netflixオリジナル作品の「ラグナロク」は、現代社会においても、北欧神話の物語が続いていたら…?というコンセプトがベースにあります。よって、物語のいたるところに、北欧神話の要素が散りばめられています。
北欧神話の知識がなくても、もちろん話の進行は理解できるし、それなりに楽しめます。しかし、それは「ラグナロク」の面白ポイントを十分に理解できていないことを意味し、非常にもったいないんです!
今回は、Netflixオリジナル作品「ラグナロク」を10倍楽しむための北欧神話解説です!
シーズン1のネタバレが非常に多く含まれます。ネタバレなしで「ラグナロク」を見たい方は、シーズン1のレビューをご覧ください。
「ラグナロク」シーズン1のレビューはこちら!
【目次】
そもそも「ラグナロク」とは?
「ラグナロク」とは、北欧神話における終末を表します。ドラマ名でもある「ラグナロク」という言葉自体、そもそも北欧神話に関わる言葉ということです。
シーズン1の1話目冒頭でも、
「北欧神話における終末。天災から始まり、最終的に神々と巨人の決戦を迎える」
以上のように、ラグナロクについて紹介されています。
またNetflix側の作品紹介では、以下のように「ラグナロク」のことが紹介されています。
「環境汚染と氷河の融解に見舞われ、さながら終末の危機にひんするノルウェーの小さな町。ここで連綿と続く悪を絶つことができるのは、神話の戦神だけなのか。」
こういったように、「ラグナロク」が持つ言葉の意味合いやストーリー、Netflix側の紹介文などだけでも、なんとなく「ラグナロク」のストーリー性みたいなものを予期することもできます。
例えば、環境汚染と氷河の融解といった現代における環境問題を天災ととらえ、これらの環境問題から、北欧神話におけるような世の終末へと向かうのではないか?ということ。(タイトルが「ラグナロク」というだけあって)環境問題を発端として、現代版の神々と巨人の戦いが繰り広げられるのではないか?ということなどです。
本編を見る前から、この作品の重要ポイントは、環境問題、神々と巨人の戦い、世の終末あたりかな~ということが、わかるというワケですね。
神と巨人について
先ほど紹介した重要ポイントを念頭におきながら、シーズン1を最後まで見ていくと、現代版の神(トール)が、主人公のマグネ、巨人が、ヨツール家の一族であること、ヨツール家の産業がもたらした環境破壊や汚染が、エッダの人々を苦しめていることに対して、マグネが果敢に立ち向かうというストーリーが、わかります。
北欧神話について全く知らない人でも、このことについては、理解できるように物語は展開していきますので、ご安心下さい。しかし、神と巨人についての知識がないと物語の面白さを見つけることができない場面も多々あるので、まずは、神と巨人についての理解が大切になっていきます。
神(トール)
雷神。北欧神話において最強と言われる神。ミョルニルと呼ばれるハンマーを武器で巨人と戦う。短気だが、力強い戦神。英語読みにすると「ソー」。人気アメコミシリーズ「アベンジャーズ」のソーのモデルになった。
巨人
北欧神話における超自然的存在で、神々の敵。
まずは、神と巨人についておさえよう!
隠された北欧神話のエッセンス
1話目から、マグネが神で、ヨツール家が巨人です!!と明確にわかるようには、さすがになっていません。しかし、「あれ?これって、もしかしてマグネが神で、ヨツール家が巨人?」と視聴者が推測できるような北欧神話のヒントが、全エピソード通じて、たくさん散りばめられています。
よって、それなりに北欧神話について知っている人なら、それらのヒントを探しながら物語を見ていくと、非常に面白みを感じる物語の構成となっているのです!(この辺りが、北欧神話に馴染みのない日本人には、結構理解が厳しいかも…)
1話目から隠されたヒントを一緒に確認していきましょう!
物語の舞台、エッダ(EDDA)
「ラグナロク」の舞台は、ノルウェーの自然あふれる小さな町、エッダ。「ラグナロク」内では、かつて神々と巨人が対決した地がエッダであるという設定のようです。
実は、北欧神話においては、北欧神話がまとめられて伝えられてきた物語集のことをエッダといいます。ちなみに、ノルウェーには、エッダという町は実在しない架空の町。この架空の町の名前が、エッダで、その昔に神々と巨人の戦いがあった場所だという設定なだけでも、北欧神話にまつわる何かが、また引き起こされそうな感じですね~!
エッダに来てから、力に目覚めるマグネ
そんな北欧神話感満載の町、エッダに引っ越してきてから、マグネは、導かれるようにして、異次元の力に目覚めていきます。
例えば、雨が突然降りだすことを予想できるようになること、失読症で目が悪かったのに、眼鏡なしでも遠くが良く見えるようになること、普段運動をするわけでもないのに異常なスタミナが備わるようになること、ありえない速度で走ることができるようになること、除雪車に引かれたのに軽いけがで済んだこと、などが挙げられます。こうした人間離れした力から、彼が特別な存在であることが予想されます。
さらに、家にあったハンマーを触ると、変な声が聞こえるようになったり、何かマグネとハンマーとの関係性もうかがい知れるシーンがあります。
極めつけは、1話目ラストシーン。イゾルデの死を目の当たりにして、ショックのマグネは、大雨の中、1人歩きます。ふと、家の前にあったハンマーを手に取り、悲しみと怒りを込めて、ハンマーを投げちゃうんですよね。ハンマーを投げた瞬間、ハンマーの方向へ大きな雷が落ちるんです!!と思ったら、近くの電柱から火花が散って、あたり一面が停電に…!!!
何も知らないで見たら、「うわああ!雷おちて停電した~!」ぐらいにしか思わないかもしれませんが、トールの存在を知っている人が見れば、「うわああ!エッダ×ラグナロク×雷×ハンマーって、神(トール)…!!!?」と、今後の展開にドキドキしながら見ることが出来るんですね。
ちなみに、投げたハンマーは、1.5㎞先にあるヨツール家に止まっていたヴィダルの車のフロントガラスに直撃しちゃうんです。ただならぬパワーです…。
エッダを支配する巨人たち、ヨツール一族
長年エッダで事業を行い、富を築いてきたヨツール一家。ヨツールのスペルは、JUTUL。実は、北欧神話では、Jötunn(英語:Jotun)という巨人が登場するのですが、どうもヨツールにスペルも発音も似ていますね…。勘のいい人は、シーズン1の1話目の冒頭に出てくるJUTULのスペルを見た瞬間にピンとくるようです。
1話目終盤には、ノルウェーの春分の日に、ヨツール家のヴィダルが、何故か裸で山にはいって、トナカイを捕らえて、謎の儀式のような行動を始めます。ここまでくると、完全に普通の人間ではないことがわかります。ヨツールという名前の印象や、途中途中の描写、マグネの雷シーンを見れば、ヨツール側が、巨人関係のキャラクターなのか?と予想できちゃうんですね。
他にも気になる点
マグネの弟、ラウリッツはロキ??
北欧神話界で無くてはならない存在なのが、ロキです。半巨人の神族のロキは、いたずら好きでトリックスターという名前でも親しまれています。魔術が得意で、動物や女性にも変身できるそう。劇中のラウリッツが、非常にロキっぽいと話題になっています。
たしかにロキっぽいところたくさんある。
シーズン1では、ラウリッツは、ロキと決まったわけではありません。しかし、もしラウリッツがロキ的ポジションであるなら、「ラグナロク」でラウリッツが重要な役割を果たすことは確実です。シーズン2以降、彼から目を離せないな~と思います。
ラウリッツ役のJonas Strand Gravliが主演したNetflix オリジナル作品もあります!
マグネのお父さんについて
マグネのお父さんは、32歳の時に悲惨な事故死で亡くなっています。しかし、この件について、ヨツール家のヴィダルとランがよく覚えているというのが、何か引っかかります。もしかして、マグネのお父さんも、何か神サイドの力を持っていて、それが原因で事件にまきこまれてしまったのかな…と思ったり思わなかったり。シーズン2で詳しく分かるのかも…!
北欧神話では、ラグナロクでトールが死んで、息子のマグニ(Magni)が生き残るという話があります。マグニは、トールのような力を持っているのですが、どうも「ラグナロク」のマグネと名前等々が似ている…??「ラグナロク」のマグネがマグニからインスピレーション受けているのかどうか不明だけれど、もしかして色々関係があるのかも…!?ということで、マグネのお父さんについても、もっと詳しく知りたい!
他にも気になる登場人物たち
シーズン1の1話目、マグネがエッダに引っ越してきたときに初めて出会った一風変わったおじさん。実は、彼は初めから「オーディン(Wotan)」という北欧神話上の神の役名がついたキャラクターなのです!(ノルウェー語字幕に切り替えてもらうと、Wotanと明記されています。)
オーディンは、北欧神話の中でも最上の神と言われており、博学な神。知識を得るために、自身の片目を失うという逸話が残されているほどなのですが、「ラグナロク」内のオーディンも片目を隠していて、どことなく北欧神話上のオーディンを彷彿させます。
また、北欧神話では、トールは、オーディンの息子として描かれているため、マグネとも深く関係があるのではないかな~と思われるのです!
シーズン1では、あまり出てこなかったのですが、北欧神話的にも重要なポジションの神であるし、演じている俳優さんも実は、ノルウェーを代表する大御所俳優のBjørn Sundquistが演じているんです。正直、Bjørn Sundquistがこんなちょっとだけの役で済むわけがない…!と個人的には思うので、シーズン2以降の活躍が楽しみです。
Bjørn Sundquistは、ノルウェー映画「ハロルドが笑う その日まで」で主演を務めた俳優さんです。「ハロルドが笑う その日まで」のレビューはこちら!
マグネにトールとしての力を授けたWencheというおばあちゃん役もイマイチどういう人なのかわからないし、どうしてマグネにパワーを宿したのかも不明。シーズン1の4話目から転校してきたイマン。なんかこの子も絶対何か重要キャストっぽいんだけど、まだよくわからない。色々とひっくるめて、シーズン2に期待。
まとめ
トール(雷神)がマグネで、神の宿敵である巨人がヨツール家ということを念頭にして物語を改めて見ていくと、エピソードの所々に北欧神話のヒントが隠されている「ラグナロク」。それぞれのヒントや描写をパズルを組み合わせるようにして見ていくとき、「ラグナロク」の本当の楽しさがわかるのではないかな~と個人的には思います!
「ラグナロク」のシーズン1は、全6話と短めなので、見やすいと思います!シーズン2が配信される前に、シーズン1を完走しきっちゃいましょう~~~!!
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