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火星に向かう途中で遭難した宇宙船内で生きる人々を描いたスウェーデンのSF映画「ANIARA」を見た感想!

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先日ご紹介した「ブレンダンとケルズの秘密」に引き続き、EUフィルムデーズ2020オンラインから作品を視聴していきます!

www.natsuminscandinavia.com

 

今回は、スウェーデンのSF映画「ANIARA」(アニアーラ)を見ました。EUフィルムデーズには、作品を単品購入するか、パック購入するかで料金が変わってくるのですが、今回は、パック購入はせず、「ANIARA」のみ購入しました。1本300円で72時間視聴可能です。ちなみに、アマゾンプライムでも作品は購入可能ですが、もう少し値段が高いです。

 

SF映画ということで、美しい銀河系、宇宙服、ロケット、壮大な宇宙のシーンや宇宙でのサバイバルやバトルをイメージしていました。しかし、そこは北欧のSF映画。私が思っていたようなSF映画とは、全くタイプが異なりました。静かさの中で、厳しい現実を突きつけられるような感じで、終始打ちのめされました。

 

舞台は、環境破壊&放射線汚染で、もはや地球に人間が住むことができなくなった世界。人々は、地球から火星へ移住を開始し、巨大宇宙船アニアーラ号に乗って、火星を目指すのですが、不慮の事故で、軌道から外れ、操縦不能な状態に。宇宙をただ彷徨い続けるだけの宇宙船で、生きのびるしかない人々を描いた映画となります。

 

3週間で火星に到着するといわれていた楽しい宇宙の旅が一転。軌道から外れ、助かるかどうかもわからず、宇宙船での生活は長くもって2年と宣告されます。そんな絶望的な状態に陥ったとき、科学、スピリチュアル、宗教などに快楽を求めるようになる人々の有り様が、描かれているのですが、まさに、アニアーラ号で起こりうるありとあらゆる絶望の詰め合わせのような状態が描かれています。異次元の話にも見えるけど、現代にも通じるようなところがあるのだろうと見ていて思いました。

 

強いメッセージを突きつけて、視聴者を底に落とすだけ落とす感じ、北欧映画が得意なところだと個人的には感じます。絶望に閉ざされた人にとって、生きる希望とはいったい何なのだろうかということを強く問いかける映画。最後の方は、つらすぎて涙も出ないという感じになりました。

 

深く考えさせられるスウェーデンのSF映画です。

 

【目次】

 

 

 

作品紹介

 

 

「ANIARA」

制作:2018年

音声:スウェーデン語

字幕:日本語

分類:SF映画

原作:Harry Martinson著「ANIARA」

原作は、スウェーデンのノーベル文学賞受賞経験のある作家Harry Martinson作の「ANIARA」という詩。1956年に発表された作品です。

 

 

 

あらすじ

 


Aniara - Official Trailer

環境破壊と放射線汚染によって、地球は、人間が住むことが出来なくなってしまった。新たな居住先として、地球から火星への移住が開始。8000人を乗せた巨大宇宙船アニアーラ号は、火星へ向かっていた。突如現れた宇宙ゴミを避けた結果、宇宙を漂うボルトと接触し、宇宙船は燃料を全て放出せざるを得なくなる。操縦不能となったアニアーラ号は、火星へ向かう軌道からも外れ、ただただ宇宙を彷徨い続けることになる。絶望状態の中で、人々が精神の安らぎとして依存するようになったのは、人間の感情を癒す人工知能であるMIMA(ミーマ)であった。

 

 

 

登場人物

 

登場人物を紹介します。

MR

アニアーラ号内の人間の感情を癒す人工知能MIMA(ミーマ)の操縦士。MRは役職の名前。

 

イサゲル

アニアーラ号の副操縦士。常に感情を表に出さず、冷静に事態に対応する。MRと恋仲となる。

 

 

感想

 

宇宙空間を彷徨い続けるアニアーラ号は、地球の縮図

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宇宙を漂い続けることになったアニアーラ号ですが、結局は、地球を凝縮したようなものだったのではないのかな…と思いました。

アニアーラ号の人々は、精神的快楽を求め始めます。単純にパーティーではっちゃけることだったり、お酒を飲んで酔っ払うぐらいで済めばいいのですが、危機に瀕したアニアーラ号内では、もっと過激なことに人々は快楽を覚えるようになります。人の心を癒す人工知能MIMA、宗教などに依存したり、時には、カルト集団が発生したりします。しかし、新しい快楽に慣れれば、人々はすぐに飽きて、更なる快楽を求めていきます。

さらに、デマが流れ、デマを信じるものが現れたり、アニアーラ号内で形成された秩序による統治を進んだり、自殺者が続出し、暴力も黙認される状態になっていきます。

 

希望が持てない現実に対して、ドンドン負の方向へと突き進んでいくような感じが、見ていて、ずっしりときました。アニアーラ号内で繰り広げられる人間たちの行動は、地球で起きていることにもリンクされる部分があるのではないかなと思いました。

 

劇中のセリフで印象に残ったセリフがあります。それは、アニアーラ号は、コップの水の中にある気泡のようなちっぽけな存在だというセリフです。アニアーラ号に乗っている人からすると、自分たちが世界の中心のように感じてしまうかもしれませんが、実際のところ、アニアーラ号は、宇宙空間上では、コップの水の中にある気泡のように、淡く小さな存在なのです。それは、地球も同じようなものなんだと思います。

 

 

希望を見出せない世界における生きる希望とは

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急に宇宙空間に放り投げられて、いつ火星につくかもわからず、死と隣り合わせになる状態。正直、想像もできないぐらい怖い。そんな中、アニアーラ号の人々が、どのようにして生きる希望を見出していくのかということが、映画では描かれています。

 

ハリウッドのSF映画であれば、アニアーラ号で起きたことと似たような状態になっても、勇敢な主人公がこの現実に立ち向かい、問題を乗り越えるというようなお決まりのストーリー展開になるのかな…と思います。主人公のMRやイサゲルを見ていると、彼女たちだけでも早く助けてあげてほしいと願うばかりでしたが、願ってもハリウッド的なストーリー展開は一向にやってきませんでした。

 

しかし、冷静に考えてみると、「ANIARA」の無情なストーリー展開こそ、非常に現実的にアニアーラ号で起きている局面を描いていると感じました。絶望の中で、希望を失っていくことをシミュレーションしているかのようでした。

誰かの希望が、みんなの希望にかならずしもなるわけではないということを痛感させられたシーンがあり、印象的でした。極限の状況下においては、「希望を持ちなさい」ということが、時には人を苦しめることになるのかなと思うと、非常に胸が痛かったです。しかし、生きることに希望を持てる者、持てないで絶望するもの…静かに崩壊しているアニアーラ号にいる限り、両者に違いなんてなかったのかもしれない。

 

 

まとめ

 

映画に散りばめられたメッセージがずっしりと重く、「ANIARA」を見終わった後、茫然とした。「ANIARA」ほどではないかもしれないが、正直、現実世界でも十分起こりえる内容が散在していたと思う。

「ANIARA」の世界で起こったことは、元をたどれば、人間が起こしたこと。地球に住めなくなったのも人間の行いのせいだし、アニアーラ号が遭難したもの、宇宙に漂う宇宙ゴミが原因。私たちの世界だって「ANIARA」みたいな状態にならないとも言い切れない。もし、自身もアニアーラ号にいたとしたら、MRやイサゲルのような行動が取れたのだろうか。楽しい系のSF映画では全くなかったけど、深く考えさせられる映画でした。

ANIARA アニアーラ(字幕版)

ANIARA アニアーラ(字幕版)

  • 発売日: 2019/10/02
  • メディア: Prime Video
 

 

 原作も読んでみたくなりました。

 

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なつめ