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ノルウェーのオスロ・ウトヤ島で起こった連続テロ事件を描いたNetflixオリジナル作品「7月22日」を見た感想

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ノルウェーについて知りたいなら、避けては通れない出来事があります。

それは、2011年7月22日にノルウェーで起こった連続テロ事件。

え?!ノルウェーでテロ事件??

2011年にノルウェーでテロ事件なんてあったの…???と思う人も多いかもしれません。多くの日本人にとって、2011年というと東日本大震災があった年という記憶が強いかと思います。震災当時、私は学生だったのですが、その時の震災のニュースは、今でも鮮明に覚えています。それなのに、ノルウェーで起きていた悲劇について、近年ノルウェーに興味を持ち始めるまで、残念ながら、知らなかったのです。当時、日本ではあまり報道されていなかったのかもしれませんが、子供だった私は、目の前で起きていることを受け止めるだけで精一杯だったのだろうと思います。

 

このテロ事件では、オスロにある政府庁舎付近で爆発事件が起きた後、ウトヤ島で銃乱射事件が起こっています。犯人は、極右思想を持ったアンネシュ・ベーリング・ブレイビクというノルウェー人で、単独犯。彼は、政府の移民政策に不満を抱き、政府関係者を狙って、事件を起こしました。この事件では、計77人の尊い命が失われていて、単独犯における事件では、戦後、類を見ない悲劇である。

 

ウトヤ島では、当時、ノルウェー労働党の青年部のサマーキャンプが行われていて、数百人の若者が参加していた。ノルウェーの政党には、青年部というような若者も参加できる部門がある。青年部で経験を積んだ若者が、そのまま政党入りして政治家になるということも珍しくないようだ。サマーキャンプは、青年部の若者たちが集まって、政治の話をしたり、一緒にスポーツをしたりする夏のイベントだ。楽しいはずのキャンプで、未来ある若者を狙った痛ましい事件が起こってしまったのだ。ウトヤ島では、69人が亡くなり、200人以上の負傷者が出た。

 

今回、ノルウェーで起こった連続テロ事件を描いた映画Netflixオリジナル作品「7月22日」を視聴しました。事件直前から事件後までの様子を再現しているこの映画では、犯人の思想の過激さ、事件の残忍さが浮き彫りになっていたと思います。事件が、犯人サイドからも被害者サイドからも描かれていたため、事件について知るという意味では、十分すぎる力を持っている作品ですが、事件が事件なだけに、非常に衝撃的な内容でした。ずっと涙しながら見ていました。2時間24分と長めの映画ですが、あっという間に見終えることができます。

 

色んな人に知ってほしい衝撃的な事件です。

 

【目次】

 

 

 

作品紹介

 

「7月22日」(原題:22 July)

Netflixオリジナル作品

時間:144分

音声:英語(日本語、ポルトガル語も選択可能)

字幕:日本語(英語、ポルトガル語、中国語、韓国語も選択可能)

 

 

あらすじ

 


22 JULY | Official Trailer [HD] | Netflix

2011年7月22日のノルウェー。多くの人が夏休みを満喫していた平和な日々は、一人の男によって、破壊されてしまう。オスロ内にある政府庁舎の爆発事件からウトヤ島で起こった銃乱射事件、事件後の余波までを、実話に基づき犯人サイドと被害者サイドから描く衝撃作。

 

 

登場人物

 

登場人物を紹介します!

 

ヴィリャル

7月22日ウトヤ島の青年部のサマーキャンプの参加者の1人。弟とともにサマーキャンプに参加していた。青年部の人気者で、サマーキャンプ内でも政策について熱く意見を述べる。母親が地元の市長を務める。ウトヤ島で、犯人からの攻撃を受け、銃弾に当たってしまう。

 

ヴィリャル役を演じたJonas Strand Gravliは、ノルウェー人俳優。同じくNetflixオリジナル作品の「ラグナロク」にもメインキャラクターとして出演中。

www.natsuminscandinavia.com

 

「ラグナロク」のときと、全く雰囲気が異なり、少し驚きました。

「7月22日」では、Jonas Strand Gravliの演技力が光っていました。事件を風化させないという意味では、この作品は非常に意義があると思う。

ヴィリャルを演じてくれて、Jonas Strand Gravli、本当にありがとう…。

 

アンネシュ・ベーリング・ブレイビク

連続テロ事件の犯人。日ごろから、ネオナチや超極右の思想に傾倒し、移民政策に強く反発する。移民政策に寛容的な労働党、また労働党にとってもノルウェー国民にとっても大切な将来を背負う存在である労働党の青年部の若者たちを狙って、テロ事件を起こす。

 

ゲイル・リッペスタッド

犯人より弁護の指名を受けたノルウェーの弁護士。実際、この事件の弁護人を担当する。

 

面識がなかったのにも関わらず、犯人が自分の弁護を依頼したのは、ノルウェーで活躍する弁護士、ゲイル・リッペスタッド。劇中で、犯人が彼を指名した理由に、9年前にゲイル・リッペスタッドが担当した「ヘルマンセン ネオナチス事件」を見てからと発言している。

 

「ヘルマンセン ネオナチス事件」とは、2001年にオスロで起こった殺人事件。ノルウェー系ガーナ人の少年がネオナチグループによって殺害される痛ましい事件です。事件当時、ゲイル・リッペスタッドは、この事件の弁護人を務めたことで有名になりました。

 

 

 

感想

 

悲惨な事件を風化させてはいけない

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この映画は、当時の事件についての情報が全くない人が見てもわかるように作られているなと感じました。そのため、犯人の過激な思想や、事件の残虐さが、よりよく伝わる構成になっているおり、非常に衝撃的な作品だったと思います。

 

別の映画の話にはなりますが、ウトヤ島の事件について描かれている映画「ウトヤ島、7月22日」が、以前日本で公開されており、その映画は、劇場まで観に行きました。

Netflixオリジナル作品の「7月22日」と異なって、被害者目線でテロ事件中の物語が描かれています。ウトヤ島での出来事をワンカットで撮影し、犯人から逃げ惑う主人公にフォーカスが当たっています。突然事件に巻き込まれ、テロリストから逃げる恐怖というのが、胸に突き刺さる映画でした。

 

 

現在、「ウトヤ島、7月22日」は、DVD化されています。

事件に対する描かれ方が異なるため、両作品とも見ることは、おすすめだと感じます。

 

 

 

「7月22日」で描かれる事件後のノルウェーと被害者

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「7月22日」では、事件についてだけでなく、事件後のノルウェー国内や被害者の様子が大きくクローズアップされている点が、注目すべきポイントだったと感じます。

移民政策に寛容な国で起こった痛ましい事件。しかも、未来ある若者を狙った残忍な事件が起こってしまった。ノルウェー国内で、いかに事件の衝撃が大きかったか、その様子が描かれている。こうした事件と犯人に対して、ノルウェー社会はどう向き合うべきか、その葛藤も描かれており、事件についてより深く知ることができたと感じる。

また被害を受けた子供たちやその家族の様子も描かれており、事件の痛ましさ、事件が残した傷がいかに大きいかということを視聴者に訴えかけるものであった。

 

 

 

第二の犯人を生み出さないために…

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この映画から感じることは、第二のアンネシュ・ベーリング・ブレイビクを生み出さないために、こういった映画から学ぶ必要があるということだ。

事件の詳細が犯人サイドからも描かれすぎており、その衝撃さに震えながら見ていたが、犯人サイドの情報も含まれていることで、何故彼のような存在が誕生してしまったのか、考えることが出来たと感じる。

 

劇中では、アメリカ同時多発テロの後から、排他的極右思想を持ち始めたというテロ犯。ゲイル・リッペスタッドを自身の弁護人にしたいと考え始めたのも2001年に起こった事件を知ってからという。つまり、ノルウェーでの事件を起こす約10年前から、彼は排他的思想に傾倒してしまっていたが、その間、彼は社会や家族から放置され続け、自身の過激な思想に染まってしまったということが映画で明らかになっている。

 

極端な思想を持ってしまう怖さ、またその思想を第一とし、周りが見えなくなる怖さを感じた。一方で、極端な思想を持つことで、社会から孤立してしまう人を置き去りにしてしまう社会が存在する限り、こうした事件は残念ながら後を絶たないのではないのだろうかと思うと、悲しい歴史から学ばなければならないことが山のようにあると感じた。

 

 

まとめ

 

ノルウェーについて勉強しているので、やっとの決心で見た作品「7月22日」。あまりの衝撃さで見終わった後も、しばらく茫然としてしまった自分がいます。しかし、やっぱり知らないといけなかったと思います。

 

先日、紹介したあぶみあさき著「北欧の幸せな社会のつくり方」でもウトヤ島の事件についての詳細が紹介されているページがあります。非常にわかりやすく解説されているので、こちらも事件を知る上で、おすすめです。

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