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アフガニスタンで生きる少女を描いたアニメーション映画「ブレッドウィナー(生きのびるために)」を見た感想

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昨年末に劇場で公開されていた「ブレッドウィナー」。話題作を連発しているアイルランドのアニメスタジオ「カートゥーン サルーン」の作品。

見に行きたかったが、年末の忙しさも相まって、見に行けないまま2020年を迎えてしまった。自身が見たかった映画リストに入ってあった映画が、早速Netflixで見れるということで、見ることにした。

 

Netflixでは、タイトルが「生きのびるために」に変更されているが、この記事の中では、映画のタイトルの「ブレッドウィナー」のままで、記述していきます。

 

舞台は、2001年、アメリカ同時多発テロ後のアフガニスタン。戦争状態のアフガニスタンで生きる11歳の少女とその家族のお話です。約20年前のアフガニスタンを描いた作品ですが、残念なことに、現在もアフガニスタンは、戦争が続いています。日本にいると中東問題に関して、非常に疎くなりがちですが、こうした映画を通じて、中東問題に目を向けることは、必要だと感じます。

パキスタンの難民キャンプで女性や子供からヒヤリングし、実話をもとに作られた原作がベースの映画ですが、美しいアニメーション映画なので、非常に見やすい作品です。

 

是非、多くの人に見てもらいたいなと思います。

 

【目次】

 

 

 

作品紹介

 

 

「ブレッドウィナー」(原作:The Breadwinner)

*Netflixで視聴する際は、「生きのびるために」のタイトルで検索してください。

制作:2017年

時間:94分

音声:英語

字幕:日本語(Netflixで視聴する場合:英語、ポルトガル語、中国語、韓国語も選択可能)

分類:アニメーション映画

第90回アカデミー賞長編アニメ映画賞ノミネート

child-film.com

 

原作:デボラ・エリス著「生きのびるために」 さ・え・ら書房刊

エグゼクティブプロデューサー:アンジェリーナ・ジョリー

DVD購入かNetflixで視聴可能です!

 

 

あらすじ


映画『ブレッドウィナー』予告編

 

アフガニスタンに住む11歳の少女、パヴァーナ。戦争で片足を失った父親、母親、姉、小さい弟と一緒に暮らしている。タリバン勢力下のアフガニスタンでは、女だけで外を出歩くことが、禁じられているため、男手が家計を支えるのに非常に重要な存在となる。しかし、娘に本を読ましているという罪で、パヴァーナの父は、逮捕されてしまう。一家に男がいなくなり、食糧が底をついてしまう。家族を助けるために、パヴァーナは髪を短く切り、男の子としてふるまい始める…。

 

 

 

感想

 

ネタバレが含まれます!

映画が描く戦時下のアフガニスタンで生きる人々

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アニメーション映画といえども、この映画が描いているのは、非常に心に刺さるテーマである。映画で描き出された世界は、11歳の少女が生きるには非常に過酷な環境。これが現実問題として起こっていたことなんだろうと思うと、居ても立っても居られなかった。

 

劇中では、パヴァーナ一家を貶めるタリバン兵がいる一方で、彼女たちを助けてくれるタリバン兵も描かれている。

パヴァーナに銃口を向けたタリバン兵は、いざ銃を発砲した際、放心状態になっていた。彼は、パヴァーナに弾があたり、彼女が死んだのではないかと恐れているかのようだった。そんな彼は、戦争の知らせを受け、放心状態のまま戦場へ向かっていった。この描写が印象的だった。映画の冒頭で、彼は、「タリバン兵として敵と戦う!」と豪語していたが、この描写を見る限り、やはり彼だって、戦場へなんて行きたくないんだよ、そう思わざるを得なかった。

一方、パヴァーナを助けるタリバン兵は、妻を地雷で亡くしている。長年、紛争が続くアフガニスタンでは、地雷が撤去されずにあり、彼の妻も負の遺産の犠牲者となった。

 

自分より立場の弱いパヴァーナに悪さするタリバン兵、助けの手を差し伸べるタリバン兵、一見対立的な立場の兵士のように見えるが、どちらも長引く戦争に翻弄され、戦場へ向かわざるを得ない一市民たちに過ぎないことを痛感させられた。

 

長年、紛争下におかれたアフガニスタンにおいて、善と悪とはいったい何だろう。国と国が、始めた争い。結局、これらに翻弄され、大きく影響を受けるのは、映画で絵が画れているようなパヴァーナや兵士たちなどの市民たちなんだ。

 

残念ながら、現在も争いが続いているアフガニスタンでは、パヴァーナのような少女たちは、今もどこかにいるかもしれない。私たちは、中東問題に目を向けなければならないと改めて考えさせられる。

 

 

見るものを魅了する美しいアニメーション映画

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映画のコンセプト自体、高く評価される部分でもあるが、アニメーション映画としても非常に見るべきポイントが多いと感じる。

 

パヴァーナが生きる世界のアニメーションと、パヴァーナが語りづく物語の世界のアニメーションでは、色彩や描き方を分けて、世界観を演出しているのだが、特に物語の世界のアニメーションが美しくて見入ってしまった。

 

色彩が非常に鮮やかで美しく、日本のアニメではあまり見ないような作り。切り絵のような描写で、私もパヴァーナの語りの世界に入り込んでしまった。

 

ストーリー自体は、重いテーマを含んだ本作だが、豊かなアニメーションの世界がストーリーをマイルドにしてくれているため、さまざまな世代の人にも、まずは見てもらいやすい作品に仕上がっていると感じる。

アニメーションにしたからといって、テーマから目を背けているというわけでは決してない。むしろ多くの人に中東問題に目を向けてもらえるような作りになっている。中学生ぐらいのお子さんとでもいっしょに見てもらえると思います。

 

 

 

まずは知ることから、始めたい。

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私自身、中東問題の専門家でもないので、十分な知識がないかもしれない。日常に追われて、もしかすると、情報に疎い方かもしれません。でも、世界のどこかで起こっている現実をきちんと知る必要があると感じます。いきなり全部は難しくても、少しずつでもいいので、行動していきたいと思う。

 

「ブレッドウィナー」は、アニメーション映画で非常に見やすい上、アフガニスタンでの生活についても知ることができる。中東問題を知るための一歩を踏み出すには、良い作品だと感じる。実際、映画「ブレッドウィナー」を見た後に、疑問に思ったことや知りたいなと思ったことは、インターネットで調べる自分がいた。

 

本の原作の絵本や、映画公式のNOTEなどからも学ぶべきことが多いと思う。是非、多くの人に見てほしい。

 

 

note.com

 

 

まとめ

 

コロナも世界的混乱であるし、人々が注目するニュースだと思う。しかし、ずっと前から戦時下に置かれている中東に対して、人々はどれだけ目を向けられてきたんだろう。

時間に余裕のある今だからこそ、まずは知ることから始めませんか?