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IKEA創業者が誘拐される?北欧映画「ハロルドが笑う その日まで」を見た感想!

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去年の夏にノルウェーを訪れたときに、IKEAをたくさん見かけた。そういえば、ノルウェーで滞在させてもらった友人宅にも、IKEA製品がたくさんあった。マグカップ、食器、ベットや棚など、さまざまな製品がIKEA製だった。ノルウェー内でもIKEAがかなり身近な存在であることを、察したことを覚えている。

フィンランドを訪れた際も、同じような現象を体験した。北欧は物価が高いので、特に若い世代にとって、安くものが手に入るIKEAを利用しやすいのは、当然といえば当然だと感じる。

 

映画「ハロルドが笑う その日まで」は、ノルウェー人のおじいちゃんが主人公の物語ですが、実は、隣国スウェーデンのIKEAも物語に大きく関わっています。劇中では、IKEAという会社名も、IKEA創業者の役名も、実名で使用されています。実話なのか、物語なのかわからなくなるほどでした。

 

物語のベースとなっているのは、現代のノルウェー(北欧)社会が抱える問題です。とはいえ、その社会問題に対して、暗いムードで向き合わないといけない映画ではなく、どこかクスっと笑えちゃうようなシーンも多く、そのバランスがよかったと感じます。

 

映画「ハロルドが笑う その日まで」を紹介します!

 

【目次】

 

 

作品詳細

 

「ハロルドが笑う その日まで」(原題:Her er Harold)

2014年制作 (2016年 日本公開)

ノルウェー映画 84分

音声:ノルウェー語

字幕:日本語

 

DVD購入か、アマゾンプライムビデオでも視聴可能です!

 

 

あらすじ

 


『ハロルドが笑う その日まで』予告編

 

ノルウェーのオサネで長年高級家具屋を営んできたハロルドと妻のマルニー。しかし、隣国スウェーデンの大手家具屋「IKEA」が、ハロルドの店の隣に開店したことで、彼らの人生が大きく変化する。安くて手頃なIKEAの商品が人気を博し、IKEAオープンから6ヶ月でハロルドの店は、閉店することになった。認知症を患っていた妻の症状が、店の閉店後、悪化。老老介護生活を送る中、マルニーを看病しきれないと悟ったハロルドは、マルニーを施設へ入れてしまうが、施設の入居とともにマルニーが亡くなってしまう。長年大切にしてきた店も妻も一度になくしたハロルドは、意気消沈。家具を売り払い空き家となった店で、焼身自殺を図るも、スプリンクラーが作動し、失敗に終わる。すべてがうまくいかないのに、隣に煌々と存在するIKEA。怒りのあまり、IKEAの創業者を誘拐するという計画を実行することにした。

 

 

登場人物とキャスト

 

登場人物を紹介!

 

ハロルド役:ビョルン・スンクェスト

ノルウェーのオサネという町で、高級家具屋を長年営む。しかし、スウェーデンの大手量販店「IKEA」が隣にオープンしてから、客足が遠のき、閉店を余儀なくされた。店も妻もなくし、自暴自棄なり、空っぽになった店で、焼身自殺を図るも、失敗。IKEAの創業者であるカンプラードを誘拐すると思い立ち、スウェーデンへ出向く。息子とは疎遠ぎみ。IKEAの家具は、組み立て式で壊れやすく安価で、よく思っていない。

演じた俳優ビョルン・スンクェストは、ノルウェーでは超有名な俳優さん。

 ノルウェー人の友人にこの映画をみたと伝えると、まず、最初に返ってきた言葉が「あ~、この俳優の映画ね。」ということだった。

 

 

カンプラード役:ビヨルン・グラナート

IKEAの創業者。非常にケチな性格。過去、ナチスを支持していた。息子がいるが、IKEAの経営をめぐり対立していることがうかがえる。

カンプラードという名前は、IKEA創業者の実名と同じ!しかも、ビヨルン・グラナートは、カンプラード本人とそっくりの俳優なんだ。

 

 

エバ役:ファンニ・ケッテル

ハロルドと道中で出会い、ハロルドの誘拐計画を手伝う少女。オリンピック出場経験がある元体操選手の母がいるが、酒と男に溺れ、心が弱っている。

 

 

 

感想

 

ネタバレが含まれます!

 

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隣国の大手量販店の出現に太刀打ちできなかった老舗、認知症を患っている妻を介護する年老いた夫。認知症が悪化し、妻との会話も成り立たない。決死の思いで、妻を施設に入れるも、妻が亡くなる。自身も焼身自殺を図るも、失敗する。一人息子とも疎遠…。淡々と物語が始まるが、冒頭15分は、非常に重いシーンとなる。老老介護は、高齢化社会の日本でもよく報じられるが、この映画でも描かれる。粛々と現実を的確に描くのは、実に北欧映画らしい。

 

 

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カンプラードを誘拐するといって、スウェーデンを目指し高速道路へ。IKEA発祥の地であるエルムフルトにたどり着いたり、IKEAの創業者のカンプラードを運よく道端でピックアップして誘拐が始まったりと、何かとハロルドはラッキーというか、現実ではそうそう起こりえないことが普通に起こって、面白い。

 

カンプラード誘拐劇では、おちゃめでクスっと笑ってしまうようなシーンが多い。

カンプラードのキャラクターもよい。誘拐されていることを電話伝えさせようとすると、カンプラードは、携帯では位置情報がばれてしまうからやめたほうがいいなどと、ハロルドにアドバイスしたり、脅迫されているのに、お構いなしに持論を展開し始めたりする。さすが、世界的企業のトップにいた人でもあるから、緊急事態にも応じないと思いきや、こっそり逃げ出し、凍った湖にはまって抜けられなくなったりする。

 

ハロルドとカンプラードは正反対なおじいさんだが、なかなか面白いコンビだったと思う。

 

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劇中でよく使用されている曲が「Haroldstema」という曲だ。

どこかヨーロピアンの民族音楽みたいな音色で、シリアスなシーンにもおちゃめなシーンにも使われている。この映画の流れに合っていて、私は好きだった。

見た後、なんか頭から離れないそんな曲だ。

 

 

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世界的に有名な家具屋の名前がそのまま使われていたり、IKEAの創業者の役に実名を使用、本人にそっくりな役者を起用しているところなど、この映画のすごいところを言い出したらキリがない。

カンプラードが、ナチスに傾倒していた過去を謝罪するという設定も実際にあったことのよう。IKEAのオサネ店も実際にあるらしい。

 

 

 

 

実話なのかフィクションなのか境目がわからなくなるほどだ。

とはいえ、ハロルドのように、IKEAの出現によって、店を手放さなければならなかった人は、現実問題として、少なからずいるんだろう。

カンプラード誘拐というフィクションの中に、北欧における高齢者、家族との関係、大手家具屋IKEAの進出による消費者の消費動向の変化による影響など、ノルウェーの現代社会がよく描かれている。

それにしても、IKEAは、よくこの映画を作ることを許したな…と思うと面白い作品。

 

意外にテンポ感がいいし、90分以内で見れる映画なので、見やすくおススメです。

 

 

 

なつめ